ギャンブルを好んでプレイする行為は、興味深い心理的現象であり、心理的プロセスがギャンブルという行動に及ぼす影響については、数多くの研究が行われています。ここでは、5つの興味深いギャンブル心理現象について考えてみましょう。

人は機嫌が良いと、ギャンブルをしたくなる

最新の研究により、晴れの日の日数、地元スポーツチームの成績など、人の機嫌が良くなる要因とギャンブルが行なわれる回数に関連性がある、と発見されました。その理論的根拠は、良い気分になると、人はよりリスクのある行動を取るようになる、というものでした。

 

人はギャンブルをする時、「ギャンブラーの誤謬」を起こす

ルーレットで黒の数字が7回続いた後は、プレイヤーは全財産を赤に賭けてしまいがちです。「ギャンブラーの誤謬」とは、ある事が頻繁に起こると、次は何か別の事が起こると思い込んでしまうという心理現象です。実際には、出来事が起こる確率は常に同じなのにです。

 

勝利の期待値が変わる!?

競馬ファンの方に、馬券購入の前と後で、お気に入りの馬の勝率を予想してもらうスマートリサーチを実施したところ、賭ける前よりも賭けた後の方が、自分の賭けた馬が勝つ確率がより高いと感じているという傾向が見られました。被験者は、思い入れが強くなるにつれて、より希望を持つようになるのです。

 

バンドワゴンに乗ってギャンブルをしてしまう(バンドワゴン効果)

宝くじの当選金額が過去最高になってメディアで話題になったりすると、人は「買い逃したくない!」と思って宝くじを買いに走ります。これまで宝くじを買ったことがない人でも、こういう時、”バンドワゴンに乗って”宝くじを買ってしまうものなのです。

 

迷信とギャンブルシステム

ギャンブルは、定義上、偶然に左右されます。多くのギャンブラーは、ギャンブルで成功するための戦略が練れると確信しています。

戦略として、乱数のパターン予測を試みたり(そんなものはありません)、今「ホット」なスロットマシンを選び、「コールド」なマシンを避けたり(例えば、「ホット」なマシンだからといってプレイし続けたり、長い間当たりが出ていないマシンを「そろそろ当たりが出るはず」とみなしてプレイしたり)、勝ち続けるために何らかの儀式をしたりします(スロットマシンをカワカマスで叩くギャンブラー等)。

ご存知のように、ギャンブルには相当な依存性があり、このような心理的プロセスがその依存性を悪化させることは多いのです。神経科学の研究によると、ギャンブル依存症の脳のメカニズムの多くは、薬物依存症と共通しています。

 

ギャンブル依存症を克服するには、ギャンブル神話に打ち勝ち、依存症をコントロールする方法を学ぶことが重要です。例えば、ギャンブル依存症全国評議会(NCPG)では、ギャンブル依存症を支援する様々なサイトやホットラインを提供しています。

脳内報酬系の作用の仕組みについての理論に言及せず、ギャンブル心理学を語ることは困難です。ある種の高揚感が得られなければ、人はギャンブルをしないでしょう。

ギャンブルにおいて最もはっきりしている要素は、「不確実性」です。脳は何が起こるか分からないという状況で、特に、起こりうる結果に報酬獲得がある状況を好むようにできているゲームなのです。